Sは小学校の授業で、父の日に手作りのプレゼントをあげましょう、という課題に取り組んでいた。
Sの父はヘビースモーカーなので、Sはヨーグルトの空き容器で灰皿を作ることにした。
プラスチック製に空容器のふちにハサミで切りこみを入れ、外側へ折り曲げていった。
Sは不器用だったが、なかなかの力作だと思った。
家に持って帰ると、母がなにそれ、と訊いてきた。
「灰皿作ってん」
「灰皿?あはは、ただのゴミにしか見えへんかったわ。あはは」
父の日当日、父親が帰ってきた。手になにか持っている。
「これかっこええやろ」
とにこにこしながらSの前に出したのは、ダンプカーの形をした陶器製の灰皿だった。
「会社の人にもらってん」
Sは急に恥ずかしくなった。ふちがバサバサになったヨーグルトの空容器を手に持っていた。
「それなんや」
「・・・灰皿作ってん」
「へえ〜。わしにか。ありがとう」
Sは自分が作ったモノとダンプカーの灰皿を横に並んでいるのを眺めながら、もっとうまく作ればよかったと後悔した。
どうしても灰皿に見えない。ただのゴミに見えてきた。
「これ使ってや」
Sは夕食をほおばりながらヨーグルトの空容器を指差し、父に言った。
「わかった、ははは」
父はダンプカーの灰皿で煙草の火を消しながら笑うのだった。
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